太陽光発電のご案内
レーザー・ビームの方は、D・Bアス社の展示ブースの正面入口で50カラットのダイヤモンドを照らして大評判。
彼はミハコを吸わないのだ。
Fイヤー・Sコープの方は、D・Bアス社から与みられた応接室に展示され、英語の出来ない彼にかわって女子社員が説明役となり、多くの人に賞賛されたとのことであったが、中にはダイヤモンドをこんなにハッキリと見せる必要はまったくない、という意見の人も何人かいたそうだ。
考えもしないほど評判はよく、いくつかの引き合いの話を持ち帰って来た。
ひとしきり話が弾んだところで、彼は浮かぬ顔をして打ち明け始めた。
「実は、引き合いで困っているのです。
急がなければならないし、どこかの貿易会社に任せようと思うのです」「ちょっと待てよ。
折角誰も作れなかったものを作ったのだから、自分でやるのだよ」「貿易なんてやったこともないし、だいいち英語が分かりませんから」「大丈夫、大丈夫、今は便利になって代行してくれるところが一杯あるし、紹介してあげるから心配ないよ」私はS山氏を励まして、日頃世話になっている銀行に間に立っていただき、彼を輸出入代行会社に引き合わせて輸出の段取りを彼が自分で出来るように手配してやったのである。
これで万事よし、と思っていた。
その数日後、S山氏が再び事務所を訪ねてきた。
「社長、やっぱり私には出来ません。
私には力が足りません。
社長にやっていただくしかありません。
失礼ですけど、ずっと前から目をつけていたのです。
この仕事は社長にしか出来ないのです。
社長の力でFイヤー・Sコープを世界中の人に知らせて下さい」意外な話の進展にビックリした。
素晴らしい仕事になるから頑張ってやってみろよと、自分でやるようにけしかけた私の所へ、あろうことかお鉢が回ってきたのである。
その頃の私は、まだ新しい仕事をする気にはまったくなれなかった。
28歳で会社を始めてからこの時までの11年あまり、常に部下たちの目を気にした生活を続けてきており、プライベートな時間もなく疲れてもいた。
実は、この話の1年2ヵ月前の自分の誕生日に、東京の本社を含めたすべての営業所を若い営業所長たちに譲って、403歳でありながら若隠居のような生活をしていたのである。
誕生日には普通プレゼントをもらうものだが、何をやるにもちょっと違った色をつけたがる私の性分が、逆に誕生日に会社をプレゼントするという酒落をやったのだった。
当時はいわゆる充電中であり、曜日を気にすることもなく、久方ぶり2人生をエンジョイしている状態であり、正直なところこうした生活をもう少し続けた。
ましてやダイヤモンドに関わる仕事など、まったくのノー・サンキューである。
いくら断っても、S山氏は何回も訪ねてきた。
「なぁS山君、バックアップはする。
だから自分でやるのだ」「いまはただお願いします、としか言みません。
不信から確信に変わった社長のダイヤモンドヘのその気持ちを、どうしても多くの人に直接伝みてもらいたいのです。
やれる人は社長しかいないのです」これだけの熱意があれば彼自身で何でも出来る、と私は思っていた。
それまで出会っていた沢山の部下と比べても、まぎれもなく彼はトップ・クラスのマネージャーとしての力を持っているといっていい。
大の男がこれだけ頭を下Gーテ言うことを、どうにも断り切れなくなって来ていることも同時に感じていた。
「わかった。
2週間だけ時間をくれ。
考えさせてくれよ」と言って、私は彼からFイヤー・Sコープを借りて家に帰った。
家に帰った私は、婚約時代に妻にプレゼントしたダイヤモンドをまず覗いた。
その時のことを妻は、自動車販売会社の小冊子ヤナセ・ライフの「TheBeSt」にエッセイとして書いている。
それによると指輪を見せろと言われた時、何か事情が出来て手放せとでもいうのかしらと思ったという。
ないよ。
ともかく、妻のダイヤモンドをFイヤー・Sコープで覗いてみて、本当に心底ビックリした。
熱が出るほど、実にひどい代物だったのである。
怒りを感じた。
反射して返るはずの赤い色はほとんどなく、白く光が抜ける部分が多いばかりか、大きなキズがいくつもハッキリと見たからだ。
その上、形は承にくく歪んでいた。
だまされていたことがはっきりして、私は荘然と座り込んでしまった。
長い間ダイヤモンドに対して抱いていた不信感が新たな確信となった瞬間であった。
「ひどい石だ。
よくもこんなものを得意になって指にのせて来たなぁ。
申し訳ないことをした。
捨てろ!」私は妻に言った。
高価であったら文句はないものだろうと11年間思い続けてきたダイヤモンドである。
「冗談じゃないわ。
私にとってはたった1つの、それも大切な宝石よ」と、妻はあわてて指に戻した。
だが私は、少しずつ心の底から沸き起こってくる、あるものを感じていた。
当時はダイヤモンドについて何1つ知識はなかったものの、妻に買ったもの以外に、部下のためにも買っている。
気になりだした。
そればかりではない。
現在世界中で売られているダイヤモンドのことまで気になりだしてきた。
私はFイヤー・Sコープの前に座り込んで考えた。
(このダイヤモンドという高価な商品を買う時、誰でもこうして自分の眼で確かめ、納得して買みたならばどんなに素晴らしいだろう。
だからといって、自分のためだけになら、やはりいまはやりたくない。
彼のためにやる仕事だとしたら、しかもダイヤモンドを買おうとする多くの人のためになるとしたら、やってやるしかないじゃないだろうか)と。
それからニ週間ほどたった5月の連休後、彼の熱意と私の心に沸き起こった新たなチャレンジ心とが一体となって、Fイヤー・Sコープを売る仕事を引き受けることになった。
世界中の人達が、インチキでないダイヤモンド、本当のダイヤモンドを選べるように頑張ってみよう。
こうして彼の手から私の手へ今ハトンが渡されたのである。
私がS山氏の申し出を引き受けたのは、彼の熱意2つき動かされたというだけではない。
カステラの箱のような型をした簡単な器具が、あれほどうさん臭かったダイヤモンドを、自分の目に明らかに見せてくれた初めてのものだったからで、この簡単な装置こそ、きっとこれからダイヤモンドを購入するためには決定的な秘密兵器になるだろう、と強く感じTカらである。
ダイヤモンドはすべて同じように輝くと思っている人が多いと思うが、輝きは1つ1つ見事に違っていた。
しかも一面一面のカットの微妙な差が、本当に美しく輝くダイヤモンドか、光るだけのダイヤモンドかの差にもなっていた。
このFイヤー・Sコープにかかると、誰にでも分かってしまうのである。
S山氏は7年以上も前から、「最も美しく輝く」と言われたAイデアル・Cトのダイヤモンドを販売して来た。
説明すればするほど虚しくなる、と悩んでいた。
私も彼を悩ませた1人だったわけである。
本当に良いものを持っている、という確信が強ければ強いほど、口で説明するのが虚しくなる。
この虚しさを何とかしたい。
何とか視覚的に違いを表現したい、とS山氏は願い続けて来た。
『入った光がダイヤモンドの中で全反射して上に返ってくるからこそ輝きとなる。
」のである。
いままでは、目の前の磨かれたダイヤモンドが、輝くための理論通りのものか否かは、何びとも見分けがつかなかった。
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